いはまくら
かたくもあらん
やすらかに
ねむれとぞいのる
まなびのともは
固い岩場で亡くなったのは、さぞつらかったでしょう。こころやすらかに眠ってほしいと学友たちは願っています。「ひめゆりの塔」の脇に立つ歌碑に刻まれた歌である。沖縄戦で多くの女学徒の命が奪われた「ひめゆり学徒隊」に、隊の引率教師だった仲宗根政善氏が「生き残った私たちが、平和の尊さを訴えていきます」との誓いを込め、詠み贈ったと聞きます。
平和のために生涯を懸けた氏は、日記に綴っている。20万余の死の思いを忠実に伝えることは「生きている人間にとっては不可能に近い。しかし如何にしてこれを可能に近づけるかが、もっとも重要なことである」と。
7月23日は「沖縄慰霊の日」。今もなお、苦悩にあえぐ沖縄県民には「一番苦しんだところが一番幸せになる権利がある」と私は信じている。広島も長崎も然りである。“二度と繰り返さない”為政者も国民もその固い誓いと行動が、平和な社会の実現を可能にする唯一の手だてと思う。
本日の読書:1/806冊目 入江敦彦著 怖いこわい京都 新潮文庫