
研修中、何が辛かったかと言えば自身の生活習慣でした。朝、太陽が昇り日暮れとともに眠るという習慣がない者にとって製造現場は過酷でした。ニコチンやアルコールが体内から抜けてその毒が依存症になっているのでした。それと妙な自負心はことごとく打ち破られ精神的にも肉体的にも極限を迎えました。講師の現場担当者は仕事を終えてから私の寮に訪ねてはそれこそ箸の上げ下ろしからすべてを教育してくれました。「自分があなたの会社ならこうする!」と自信たっぷりに社員のなすべきビジョンを語ってくれました。心機一転、通勤をランニングに切り替えて体力作りからはじめました。5時起床、工場までの10キロあまりの距離を1時間半くらいかけて走っては歩き、歩いては走り。着いたら事務所と現場の清掃を始めました。意識を根底から変えると水を得た魚のように自分らしさが発揮できたのは驚きでした。今はバイク(ロードーレーサーという自転車)を体力づくりの基礎にしていますが50歳過ぎまでランニング・マラソンは旭化成陸上部仕込みで続けられたことが私の財産となりました。研修3ヶ月の間で体重が当時75キロオーバーでしたが終了間際には67キロの健康体を取り戻していました。研修の成果は体力だけでなくプロとしての仕事人の気構えや自己研鑽の必要性を徹底的に叩き込まれました。研修後、請われて高知の紙製品製造会社に転職をしましたがここで得た知恵はその後大いに役立ちました。出来ない理由を探すのではなく出来る方法を模索する姿勢を教えてくれたこの研修は私の人生の起点です。
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