2009年4月17日金曜日

鶏は自身で捌け!

 

昭和30年代、私が幼少の頃戦後13年が過ぎたくらいはまだまだ食糧事情が悪かったと記憶しています。どの家庭も鶏を飼っていて卵など貴重な蛋白源だった。しかし、鶏が卵を産まなくなったら捌いて家族の胃袋に入って行きました。鶏を捌くのは大抵、父親の仕事で、近所で鶏を締めて捌いている風景も日常茶飯事でした。うっかり鶏の首を刎ね損なって首なし鶏が血飛沫を上げて走り回るなんてことも見たことがありました。普段は小うるさい私の父親はどうも鶏を捌くのが苦手で近所のおじさんに頼むことが多く、捌かれた鶏肉の分け前はほとんど彼が美味しい部位を持っていってしまったように思います。旨くない胸肉や内臓の玉紐などが我が家の食卓に並んで父親が「卵を産まなくなった鶏は不味い!」と呟き不満げにご飯を食べていたのが今でも記憶に残っています。他人にモノを頼んだら何らかのギャランティを差し上げるのが世間の理。子供時代に近所の家庭でやはり鶏を捌いてすき焼きをご馳走になったことがあります。あの時の鶏肉の旨さは格別なものでした。砂ズリや肝、心臓、とさかの刺身、軟骨のから揚げなど見たことも、食べたこともない鶏料理がオンパレードでした。その時、その家庭の親父さんが私に向かって「てっちゃん、これからしっかり勉強するんやで!知識を身につけて知恵にする時代」「なんでもやり方覚えて自分で出来たら余計なものに金を払うことがない!」「しっかり勉強して両親に親孝行しなさい」と穏やかに面白く語ってくれたことを今でも肝に染めています。今、IT時代に移り変わって経済は目まぐるしく変化しています。日本の年功序列社会も崩壊しつつ、お役人社会に残骸が残っている有様です。能力ある若者が経済的な恩恵を受けることがない時代にあの時、近所のおじさんが語ってくれた言葉がずしりと感じます。

1 件のコメント:

  1. 深イイお話ありがとう!時代に流されないようにするには不断の努力ですもんね!

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